カンガルー・ノート

カンガルー・ノート (新潮文庫)

カンガルー・ノート (新潮文庫)

安部公房の、完結したものとしては最後の長編。夢を舞台にしたロードムービーといった感じでしょうか。これまでの長編と比較すると清々しいまでにシンプルな構造ですが、死をモチーフにしたエピソードが次々と繰り出され、先の展開は全く読めません。知るはずのないものが何故か分かったり、抜群の記憶力を保てるなど、夢としてのリアリティはかなりあります。