阿修羅ガール

阿修羅ガール (新潮文庫)

阿修羅ガール (新潮文庫)

頭の悪い女子高生文体よりも、頭のおかしいグルグル魔人文体の方が凄い。脳内でぐるぐるしてる擬音まじりの無秩序な言葉が溢れています。

女子高生の脳内キャラのシャスティンや、グルグル魔人が一人称になることの説得力はほとんどなく、ただ面白いから書いている感じが伝わってきます。そして実際に面白い。お腹にナイフをめりこませる遊びだけでも、生理的にかなりの嫌悪感。「森」の描写は普通にうまい。シャスティンは文才がありますね。ただし頭の悪い女子高生の見る夢の「崖」はつまらない。頭が悪いから仕方ないか。小説の中でも、桜月淡雪が「想像力が貧困」だと指摘していますが。

短篇の「川を泳いで渡る蛇」は、舞台が京王線沿線なことくらいしか共通点がない純文学らしい純文学でした。