村上かつら短編集1,2

村上かつら短編集 1 (ビッグコミックス)

村上かつら短編集 1 (ビッグコミックス)

面白いなあ。基本的にどれも鬱話ですがそれが良いです。昔の絵は岩館真理子を雑にした感じですね。岩館真理子の方がさすがに巧いけれど、同じような方向性の下手さがあります。

「天使の噛み傷」は「ああいう人間を、視界に 入れずに 生きてゆきたい。」と独白しておきながら、そのうざい人間と一緒に夕日を眺める結末に至ってしまう主人公のダメさが良いです。

「さよなら奇跡」の最後の1ページは何だかギャグ漫画みたい。絵が巧ければこんなことには…。

「はるの/よるの/ようだ」はデヴュー作のようですが、これが一番出来が良いかも。「僕たちのリアルはいつもどこか残酷なのだ」という恥ずかしいモノローグも、非モテ女子が如何に醜態を晒さず健気に生きていくかという解答の一つを示している点も、何だか素晴らしいもののように思えます。

「いごこちのいい場所」は途中までは楽しく読めたけれど、最後は主人公がどうしてこの現実に納得できてしまうのか理解できません。

「(仮)スマ未満」は特に出来の良い漫画には思えないけれど、ワナビー男として共感できるところはあります。作者はおそらく女性だと思うけれど、これ以外の作品も含め、男性が書いているかのように思えるところがたくさんあります。妙に童貞に拘っているところとか。