就職活動をして得たものはたくさんありますが、失ったものもたくさんあるんじゃないかと思います。時間とかもそうだけど、生きていく姿勢みたいな抽象的なもの。なんというか、ヨリ漫画家からは遠のいたような気がします。具体的には年収やエリートっぽさを気にするようになりました。300万以上の年収は「いっぱい」だと思っていたのに、平均年収1173万円の会社から内々定をいただいてしまうと、その会社でやる仕事がどのようなものであれ、このチャンスを手放すのが惜しくなってしまうのです。そして今は平均年収1334万円の会社の内々定をとても欲しいと思っています。以前はとてもとても行きたいと思っていた、平均年収958万円の会社Nよりも行きたい気持ちが強いような気がします。まあNからの連絡が来ないのが原因のような気もするけれど。

以前は、チャンスがあったという事実だけで生きていけると思っていました。あの時Nに入社していれば自分は今頃年収1000万だ、という想像をいつでもできるように、Nの内々定は必要なものでした。数年後、年収300万円でしょぼいプログラマとして暮らしていたとしても、「年収1000万の可能性もあった」という事実によって、プライドが失われることのないように。自分にとって、しょぼい仕事をすることの最大の問題はプライドが失われることなので、それさえ回避できれば良いと思っていたのです。

しかし今では、年収1000万というのが非常にリアルなものとして映ってきました。このリアルさの前で、敢えて年収が半分の会社(例えばS)に入る勇気を果たして持ち得るかどうか。たぶんそれは大丈夫。でも平均年収1334万円の会社はどうか。年収だけではなくブランドとコネが強力すぎる。自分の本当にやりたいことなんてどうでもいいことなんじゃないかと思えてきますね。