ダリアの帯

ダリアの帯 (白泉社文庫)

ダリアの帯 (白泉社文庫)

文庫以外の媒体で既に読んでいるものもいくつかあるはずだけど、少なくとも「ダリアの帯」は読んでいないので、読む。読み終わっても、どれが既に読んだものなのかはっきり判断できなくて、記憶力がやばい。「サマタイム」を読んで、藤子Fっぽい話だなあと思ったけれども、昔の日記を読み返すと同じ事が書いてあって衝撃です。すっかり忘れてしまえば何度も楽しめるので良い事かもしれないけど、折角読んだのに、しかも「サマタイム」は好きな話だったのに、忘れてしまうのはやはり悲しいですね。

「夢虫・未草」は良く出来た家族もので、リベラルな発想もあって好きです。ところで「その夜は さみしい ストーンヘンジの 夢をみた」というモノローグがあって、真っ暗なコマに書かれています。普通の漫画家だったら、その情景を絵で表したいと思うのではないでしょうか。読んでてもどんな情景か気になりますし。でも大島弓子はそれをやらない。やはりモノローグ最強の漫画家は違うなあ。

「水枕羽枕」は良く出来た姉妹もの。主人公の好きな少年の趣味はパソコン。「四月怪談」の映画版のそれも同様だったし、大島弓子世界ではマイコン少年が優遇されすぎですね。

「快速帆船」は大島弓子にしては少し珍しい普通の超現実もの。しかしラストはお行儀良くまとまる。

「ノン・レガート」は周りの登場人物があまりにも非常識なのでこれも超現実っぽいけどでも超現実じゃない。いくらなんでも午前3時の訪問者は何か説明が欲しいところ。春を売るとか結構ハードな内容で、さすがDUO掲載。

「ダリアの帯」はすごい話だけど、あんまり好きでない…。何ででしょう。ヒロインが超越的存在でセカイ系だからかな。

「乱切りにんじん」は父親を宇宙人に見立てる想像力が素晴らしい。これは前に読んでいたことを思い出せました。