ロスト ハウス

ロストハウス (白泉社文庫)

ロストハウス (白泉社文庫)

大島弓子の短編集としては最も新しい作品を集めたものなんでしょうか。それでも10年以上前の作品です。これ以降『雑草物語』(読んでない)を除くとグーグー関連がほとんどになっています。面白さはまったく衰えていないので、これが最後の短編集にならないで欲しいなあ。

この短編集はハッピーエンドか鬱エンドか判断できないものが多いですね。具体的には「青い 固い 渋い」「ロスト ハウス」「8月に生まれる子供」です。これらは結末がひどく曖昧で色々な想像ができるものとなっています。その宙吊り感は、これまであまり味わえなかったもので、新しい価値判断を迫られます。素晴らしい。テーマを一言で表すだけでも困難です。「ジィジィ」と「クレイジー ガーデン」も、その3つに比べたらそこまで高度すぎるということはなくて、ありそうな話ではあるけれど、ただの夢落ちではすまなかったり、ウソの友達が本当の友達にスライドしたり、一筋縄の展開ではすみません。