ゼロ年代の想像力

ゼロ年代の想像力

ゼロ年代の想像力

惑星開発委員会、ヘルシー女子大生と楽しく読んできたので、本書における、古い想像力、従来の批評への批判は楽しく読めました。そこが一番の魅力です。

しかし、決断主義の先を示すものとして幾つかの作品を提示していますが、それは同じモデルの繰り返しで飽きてきます。クドカンや平成ライダーの変遷は変遷ゆえに面白かったけれど、よしながふみ評論はただ単にゆるやかな群像劇であることしか伝わってきません。暴力的な超越性に頼らないかたちで豊かな日常を描くことはもちろん偉いことだと思うけど、だからこれは良いものだ、と語る評論が果たしてスリリングなのでしょうか。

物語が普遍的な問題に還元されていくしかないのであれば、物語なんで観たり読んだりしないでリア充になるのが一番なのではないかと思ってしまいます。人によるだろうけど、自分はそうです。そして少なくとも、評論はつまらなくなります。