崖の上のポニョ

頭がおかしいという専らの噂なので、そうかハウルよりも更に気が狂った映画になったのか超楽しみだと思って観たのですが、全体的にはハウルよりまともでした。まあ何がまともかどうかは勿論人に依るのだろうけど、自分はもうちょっとわかりやすい頭のおかしさを求めていたのでしょう。いきなり戦争が起こるとか。ポニョはどちらかと言えばメタファーを読み取る力がないとおかしさが分からない話だと思います。そして自分はそういう能力があんまりない。

しかしメタファーを読み取らなくてもわかる頭のおかしさもあります。あまり細かい台詞を覚えていないけど、リサが不思議な出来事が起こるけど気にすんな頑張れ的な事を言い出します。なんという冷静な判断力。私はこのアニメのことは客観的に見ることができるんです。あなたとは違うんです。いやちょっと待て、さっきまでルパンみたいに車を超運転してたのはどこの誰だろう。そんな感じでところどころ中途半端にキャラクターがメタ視点を持っていて頭がおかしい。また、基本的に超展開なわりにはひどく現実的な事が行われるところも頭がおかしいです。家族間会議とか。話し合いで解決できることがこの世界にまだ残っていたなんて! ただこれは戦後日本が舞台になっている宮崎アニメがトトロ以来なので単に珍しいだけかもしれません(千と千尋は殆どよく分からないところが舞台なので)。このあたりのおかしさを上手く説明付けられている深読みは面白いけれど、自分にはとても書けないのが残念なところです。

ポニョは神話だという説を良く目にします。それらは結構納得のいくものです。しかし神話は既に世の中にたくさんあるので、どうせ頭のおかしな話ならば、神話から遠く離れたものになって欲しいと個人的には思います。その点ハウルは神話っぽさがあんまりなくて良かった。少なくともハウルがおかしいのは神話だからではありません。とはいえポニョの方が全然面白いです。さすがにただの神話じゃないですからね。メタ視点があったり、リアリティの水準の緩急がつきまくっています。まあどういった方向にせよ、これからも誰も観たことのない頭のおかしなアニメを作ってもらいたいものです!