黒山もこもこ、抜けたら荒野

黒山もこもこ、抜けたら荒野  デフレ世代の憂鬱と希望 (光文社新書)

黒山もこもこ、抜けたら荒野 デフレ世代の憂鬱と希望 (光文社新書)

サブタイトルにもあるようにデフレ世代の憂鬱を書いたものです。デフレ世代とは一般的にはロスジェネでしょうか。憂鬱はあるけれど、希望は特にありません。強いて言うならば著者の文章が上手いことでしょうか。この人の文章を読んでいると、実際に希望がなくても楽しく生きていけるような気はします。良い自分語りです。「世代観闘争」といった言葉もうまい。

議論そのものは割とスタンダードなロスジェネですが、メディアが出てくるとちょっと古臭い感じもしますね。テレビのようなマスメディアが格差を感じさせるとか、テレビのあちら側に居る人たちには「自分の言葉が決して届くことはない」とか。自分はそういう感覚が全然ないのだけれど、もっと年上の人にはあるのかなあ。著者は授業で2chについて話したりするのでちょっと意外。

さて典型的ではありますが、「マッチョでなければ生きられない社会」は「私のような小心者には無理」だと書いています。しかし会社に属さないで生きている時点でかなり強い気がして仕方ありません。勿論、それはそれでとても辛いものだったとは思うけれど、それでも現実にそれなりの社会的地位は維持できているわけで、それで小心者には無理とか言われてもあんまり説得力がないです。自分語りで社会を語ろうとすると、往々にしてお前はどうなんだ的な批判に弱くなってしまいがちだとは思いますが、それはさて置いても普通に雇用とかの問題はこの先みんなマッチョにやっていくしかなないというか、現実的に小心者でもマッチョにやっていける分野なのではないかと思います。電車で化粧している奴を注意するよりもよっぽど簡単なことです。