駅前花嫁

駅前花嫁 (OHTA COMICS)

駅前花嫁 (OHTA COMICS)

駅前シリーズの2冊目。『喜劇駅前虐殺』と変わらないテンションで進みます。ただ表題作は少し違います。一応街には新郎新婦が歩いているけれど、基本的に頭がおかしいは主人公と主人公の「運命の人」だけなので、他と比べてスケールが小さい。やはり、大勢の人間の頭がおかしくなっているのが魅力ですね。

「駅前固定」は16ページのうちに「第1章」から「第42章」まで詰まっているのだけど、それらのサブタイトルもコマに固定されているかのように描かれており芸が細かい。でもどうせなら、コマも紙に固定されているように描けば良いのにと思いました。そのようなメタな部分での細工は「駅前格子」と「駅前粒子」に結実しています。「駅前格子」は全てのコマが正方形の格子状になっており、全ての吹き出しは正方形で、全ての台詞の文字は格子状に配置されています。素晴らしい。一方「駅前粒子」は全ての吹き出しが円になっています。ただ残念な事にコマの形は四角なので、このあたりに漫画の限界を感じます。

「駅前反射」と「駅前迷路」における高い画力、そして「駅前抽斗」における『ストライキ』のパロディ、「駅前切断」における『戦艦ポチョムキン』のパロディも楽しめました。様々なところでクオリティの高さを見せてくれる良い漫画です。