春来る鬼

春来る鬼

春来る鬼

古めの短編集。まあ近藤ようこは時期によって作風が変わるわけでもないけど。ただやっぱり登場人物の年齢は若いか。そしてその方が自分にとっては面白いです。

ポテンシャル的に下流と言い表せそうな「水の女」がとても面白い。大学院(?)で優雅に研究をやっていても、常に下流人生の幻影が忍び寄るという話です。近藤ようこの漫画ではしょぼい文学薀蓄を垂れる男への嫌悪感が目立ちますね。嫌悪感じゃないのかもしれない。なんか見下してる感じ。まあ肉体労働とかすべきなんでしょう。

「醜女の日記」は、妄想して挫けて妥協に至るといういかにもな話だけれど、主人公が知的水準の低い「an・an」的な雑誌を嫌って「MORE」を読むところが面白い。

表題作のラストが謎。なんだこれは。空間がピシピシいってます。時空の裂け目とかそんなんでしょうか。