人はなぜ下書きをするのか

コミックスタジオで漫画を描いていると、人はなぜ下書きをするのか疑問に思えてきます。もちろんコミスタに限ったことではなく、下書きからデジタルで行う場合は常に疑問なのだけど。そのような疑問があったから、自分はフルデジタルで絵を描くことに抵抗があったのかもしれません。

アナログにおいて、ペン入れを失敗しないために下書きは行われます。しかしデジタルならば、ペン入れはいくらでもやり直すことが可能です。ならば下書きはしなくても良いのではないでしょうか。でも、下書きをしなければクオリティが下がるか手間が増えることでしょう。それはわかる。しかしアナログにはあった、どの程度下書きをすべきかという明確な方針が失われているので、絵を描くプロセスを再考しなければなりません。

コミスタを律儀に使うならば、鉛筆ツールで下書きをするべきなのでしょう。実際に自分も今はそうやっている。しかしまずそこから疑問。人が鉛筆で下書きをするのはそれが消しゴムで消せるからであって、どういったツールを使っても消せるのであれば、鉛筆の線に拘る必要はないはずです。

コミスタを使って漫画を描くと、アナログのプロセスを自然にデジタルに移行することができて良いのかもしれないけれど、それと同時に、デジタルでは不必要になる過程をも取り込んでしまってもいるのではないでしょうか。効率化のために、そのような無駄を排除することを常に意識していかなければなりません。