僕らのミライへ逆回転/監督:ミシェル・ゴンドリー/2008米

とりあえずなんでこんな邦題になってしまったのか気になります。『博士の異常な愛情』のように、意図的に変な訳をする伝統でもあるのでしょうか。

ミシェル・ゴンドリーと言えば完成度の高いPVが有名ですが、この映画は主人公達が仕方なく手作り感溢れる素材で有名作品のリメイクを行います。一見、両者には大きな隔たりがあるような気がするけれど、チープな仕掛けでそれっぽく見せることと、緻密に弄った映像で魔術のような効果を作り出すことは、意図的に偽ものを作り出すという点であんまり変わらないように思えてきました。もちろんどちらもとても面白いものなので、それゆえにあんまり変わらないとも言えます。

偽ものと言えば、これは偽ものの歴史を作り出す物語でもあります。全体的にはてきとーで良い感じの物語ですが、主人公達が信じていた過去が実は捏造だと分かった後も、敢えて自分達に都合の良い歴史を語り続けます。従って、歴史修正主義者はこれを批判しないといけませんね。