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買ったのは去年の5月。まさか読むのに1年以上必要とするとは…。研究室に置きっぱなしで、電車や家で読まなかったというのもあるけれど、それに加えて重い本でした。それにしても1年はかかりすぎなので、自分の読書スキルの限界を感じます。

といっても、ここ一年ではもっとも面白く読めた本ではありました。要約すると1行でまとめられて、それはしかもキャッチー。それでいてどこを読んでも興味深い事例。面白いメタファーではなくて事例。それによってネット上の世界に既存の法律がうまく適用できないことがわかります、というのは本の趣旨から当然のことですが、さらに現実世界がうまく設計されていることに気づかされます。正確には、現実世界とそのための法律ですが。現実世界のゆるさの利点について考えさせられます。

よくわからない点。本書では幾度かフィルタリングとゾーニングの区別について述べられているのだけれど、どうにもそれらの違いがわかりません。というのは人間の認知が問題なのであれば、ゾーニングは言うまでもなく、フィルタリングにしても、されていることに気付くから。あるはずのサイトにアクセスしてもアクセスできなかったら何かは認知するんじゃないかと。それとも、経路のどこでフィルタリングされているのかわからないことが重要なのかなあ。ゾーニングが必ず行政の働きを必要とするという点はわかるのだけれど。

なお、フィルタリングを民間というか市場に任せると際限なく様々な応用ができて良くないかもしれないということだけれど、どう考えても民間のほうがうまく出来るだろうフィルタリング/ゾーニングはあるので(社内PCでのショッピングとか2ch閲覧の禁止etc)、人々はそういう高品質なフィルターを求めてしまうのではないでしょうか。この問題の解答はまったく思いつきません。