ムーンライトシンドローム

ムーンライトシンドローム

ムーンライトシンドローム

こんな一本道の意味不明なストーリーの不親切なゲームが定価6200円で売られている時代があったとはすごいなあ。前作の『トワイライトシンドローム』も確かに不親切でゲーム性は小さなものだったけれど、少なくとも一本道でも意味不明でもありませんでした。

でも、一本道で意味不明なストーリーに果敢に挑戦するのは偉大。せっかくのインタラクティヴなコンテンツなのに、一本道だなんて、これはとても贅沢なことでもあります。もっとさまざまなクリエイターにチャレンジしてもらいたい。

ボイス再生中に文字が表示されず飛ばせないのは相変わらず不親切でむかついて仕方ありませんが、ゲーム性はほとんどないので、何度も何度も話を聴く羽目になるのはごく一部。ただそのごく一部がむかつく! というかキャラクターの性格がむかつく! しかも、微妙なCGと相俟って、ものすごく中二病な演出がそこに彩りを与えるのです。

そうは言っても最後で人が死ぬまくる前まではトワイライトより楽しめました。あとはひたすら意味不明でひどい。しかし少なくとも確かなのは、面白いと思える瞬間がこのゲームにはあったということ。破綻に向かう話特有の強度があります。それだけだったら他の色々な作品にもあるかもしれません。でもこれには前述の贅沢さがある。例えば映画では撮られないタンスの中身をしっかり用意することによって得られる強度…のようなものが漂っています。

それにしても女子高生のファッションセンスが謎。これが90年代のリアルなのかな。