精神／監督：想田和弘／2008

精神 [DVD]

精神科のドキュメンタリー。といってもはっきりした筋のようなものはなく、監督によれば「観察映画」。思った以上に凡庸な世界で眠くなったけど、そんな普通さを伝えることも重要なのでしょう。映画の中で描かれる精神科というと『他人の顔』のそれが思い出されるのだけれど、そんな目を引く漫画みたいな世界が、普通な精神科にあるはずがないのでした。

そもそも周りのうつ病患者を観察しても、いくら悪意を以ってしても病状が「面白い」とは言えないし、そもそも本人や周りの様々な事象が面白くないことによりうつになっている気すらしてきます。

だけれども、そんな普通さを普通に伝えるのはとても難しい。監督のコメントを聞いて、この映画は十分なタフさと素直さによって初めて作り得るものだと思いました。