下町狂い咲きシネマ

下町狂い咲きキネマ (ヤングキングコミックス)

下町狂い咲きキネマ (ヤングキングコミックス)

短編集。「生きてる」という事実や夢、「自分の戦い」、そして「僕の愛」などを、極めて重要なものとして捉える観念的な作品が多いです。要するにクサい話が多いです。そうでないのは「モコちゃん」くらい。これは若頭(男)の名前が「ジョセフィーヌ」であることに象徴されるように、何も考えていないような能天気な作品です。

一番面白かったのは「中庭」で、何だかよく分からない不思議な価値観にキャラクターは支えられている話だけれど、単純に最もドラマティックでした。一番よく分からないのが「独立国家秘密基地」。秘密基地というモチーフは良いけれど何が何だか…。「サスペンデッド・ゲーム」はトリを飾る作品に相応しく、それまでの短篇に登場したキャラクターや短篇そのものが出てきて面白かったです。