C++の設計と進化

C++の設計と進化

C++の設計と進化

C++にあまり慣れていない自分が読んでもどうなのかとは思いはしますが、それでもかなり面白い本でした。

Toy Programではない、本格的なプログラムを作るための、そして現実の問題を解くための言語設計というのは、自分のような、楽しくプログラミングさえ出来れば良いとだけ考えている段階の人間にとっては新鮮に思えます。でも、成功する言語はやはり現実の問題を解けなければダメなのだろうなあ。プロセッサの性能が向上して、いつかきっと実用に耐え得るものになると思っていると、Smalltalkみたいなことになってしまうのでしょう。だけど現実の問題というのはあまり直視したくないもので、その思いはこの本を読むことによっても強められました。標準化や分割コンパイルに対する努力を読むよりも、オーバーロードやテンプレートに対する努力を読むほうがわくわくして楽しい気分になれます。

static_castなどの、C++の新しいキャストの記法に関して、セマンティクス的に醜い機能は抵抗感のあるシンタクスの方が良いという説明がありますが、これは非常に納得できました。この本で一番印象に残ったところかもしれません。Rubyだけではなく、C++も「思考を制御する言語」だったのです! 逆の道を行くのはPerlでしょうか。