ABC戦争 plus 2 stories

ABC戦争―plus 2 stories (新潮文庫)

ABC戦争―plus 2 stories (新潮文庫)

新潮文庫。3つの話が収められています。

表題作は現代思想っぽい文体で馬鹿馬鹿しい話が綴られています。読みにくい。

公爵夫人邸の午後のパーティー」は視点切り替えが定期的に起こりながらそこそこ馬鹿馬鹿しい話が極端に長かったり短かったりする文でアクロバティックに綴られています。一番読みにくい。

「ヴェロニカ・ハートの幻影」は語り手が替わりながら馬鹿馬鹿しい話が綴られています。そんなに読みにくくはない。

3作に共通しているのは視点や語り手を意識的に揺さぶっているところです。しかしそれで話が面白くなっているかどうかはよくわからないし、一人称が複数表れる話だったら星新一だって書いています。「ABC戦争」の文体は新鮮で好きだけれど、それ以外に面白いところといったら単純に馬鹿馬鹿しい物語だけかなあ。というかこれが一番の魅力でしょう。ペニス丸だし野郎とか…。うーん、それでいいのかな。