つるばらつるばら

つるばらつるばら (白泉社文庫)

つるばらつるばら (白泉社文庫)

「ダイエット」と「毎日が夏休み」以外は初めて読みました。

「つるばらつるばら」はNHKの朝の連ドラにでもできそうな人生スケールの話で、そのうえ最後はほとんどSFです。SFなうえに都合が良すぎる展開で、それまで辛苦を舐め続けてきた主人公は納得できるのか、と思ってしまうけど、短編の少女漫画とは思えないスケールはやっぱりすごい。「ダリアの帯」とかもそうだけど、すごい漫画はとりあえずすごい。

「夏の夜の獏」、これはとても好きですね。人物が精神年齢で描かれる「金髪の草原」の拡張ヴァージョンで、更に画面がカオスになっていて面白いです。話は、精神年齢がいくら高くても、あるいは幾ら若くても、実年齢や現実には勝てないという構造。画面上では精神年齢で表されているため、現実とのギャップが強調されるわけですね。

8歳が大学生に恋をする「恋はニュートンのリンゴ」も、主人公はとても8歳とは思えないヴィジュアルで描かれているので、「金髪の草原」や「夏の夜の獏」と同じ構造…かもしれないけど、そこまで成功しているとは思えなくて、それは主人公の精神年齢は確かに高くて天才かもしれないけど、だからと言ってそんなに愉快な事をやるわけじゃないから。だけど十分面白い漫画ではあります。