Free Culture
- 作者: ローレンス・レッシグ,山形浩生,守岡桜
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2004/07/23
- メディア: 単行本
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内容は『CODE』や『コモンズ』と大差ありません。『コモンズ』が技術革新全般について書かれた一方、本書は著作権についてです。いずれにしても、とても示唆に満ちていてアツい本です。(『CODEv2』と同様に注釈の不整合があるのは良くない点だけど)
冒頭の注釈がいきなり面白い。「州の著作権法は歴史的に、出版の商業的な利害だけでなく、プライバシー上の利害も保護してきた(中略)作者に自分自身についての事実が広がるのをコントロールする力を与えた」とのことで、現代では著作権だけで両方制御するのは果たして無理なのか、思考実験したくなります。
そんな感じで興味深い話に満ちている一方で、創造性や文化の重要性を伝えるのは、技術革新のそれよりも難しく、ふとこの議論に関心をもてないであろう人たちの存在を想像してしまいます。レッシグは裁判まで起こします。この回想はアツいけど、なにがそんなにアツくさせるのか疑問に思う人も多いかもしれません。
もちろんそれは本文にも折り込み済みで、創造性や文化に限った話ではなくて、著作権の強化は技術革新を阻害するし、さらには人々を堕落させるとまでレッシグは言います。後者は具体的には、国民の多くを潜在的に犯罪者にしてしまうから(他にも多くの理由があるけど)。これって日本だとすごくよくわかる話で、著作権法違反が別件逮捕にとてもよく活用されています。すなわち、よくわからないリスクを抱えたまま生きていると、特定の誰かに貶められ易くなるということ。赤信号をみんなで渡った場合、ドライバーは轢き殺す対象を選択できるのです。個人的にはここが、そこまでして著作権の強化を懸念する理由の、理論的な支柱のひとつに思えました。