言葉につける薬/呉智英

ある章では、

同じ意味の言葉を知らずに重ねて使うことを「重言」と言う。

ということで、「おみおつけ」や「おみき」といった言葉を挙げています。
ところが他の章では、

放射能という目に見えない汚染の恐怖とそれを検出するハイテク(当時の)技術に誰しも強い関心を持っていなかっただろう。

などと、「ハイテク技術」という重言表現がなんの断りもなしに出てくるのは、不親切だと思います。