パンズ・ラビリンス

「王国に行ってわーいって話かと」と思っていたきものさんにとっては地雷映画だったようです。一応「ダーク・ファンタジー」と銘打ってはいるし、PG-12だから、それなりにグロい描写もあるんだろうなあと自分は想像してはいたのですが、それでも想像していたものとはかなり違いました。どのように違ったのかというと、『ロード・オブ・ザ・リング』のつもりが『乙女の祈り』だったみたいな。

乙女の祈り』にはかなり近いです。厳しい現実から逃れるためにファンタジーを必要とするという点において。ファンタジーが悲劇をもたらしてしまった『乙女の祈り』とは違って、この映画のファンタジーは救いです。だからといって厳しい現実が変わることはないため、観た後は重い気分になることは間違いなしです。クリーチャーはグロいから、「ダーク・ファンタジー」というカテゴライズは確かに間違ってはいないけれど、ファンタジーよりも現実の方がよっぽどダークな映画なのです。そして現実世界の物語の方が面白い。

鬱映画を他人に観せて反応を楽しむ人には都合の良い映画かもしれません。少なくとも日本における宣伝、例えばポスターなどからは、「王国にいってわーい」という話を想像し得るかもしれないからです。そして観て唖然。実に愉快ですね。